何処がいいかと、勝手ながらに探り探りをしていたんだけれど、そんな時にふと足を止めた部屋があった。
入り口からそこを除けば、黒のカーテンで締め切られた真っ暗な空間が広がっていて、廊下からの光だけを頼りにしなくては歩けないくらいだった。
なんだここ…なんて、思って天井を見上げてハッとした。
「…うわ、」
────そこには無数の星空が、輝きを見せていたからだ。
ちょっとしたプラネタリウムの機械を使って、擬似的な夜空を演出されているってだけのことだけど、ちんけそうなものの割に、それから映し出されるものはかなり価値があるようにも感じて。
入り口付近の薄暗い部分で突っ立ったまま、私はしばらく天井を見上げて見入ってしまっていた。
と、いうのも、私はこの歳になるまで、こうやって改めて星空を見るようなことは一度も"なかった"からだ。
見るまでもなく、興味も関心も──"なかった"。

