BLADE BEAST






とりあえず家に帰るという選択肢は一番に抹殺された。

それだけは一番"ナイ"選択であって、そう考えたらこっちのほうがまだマシだと解釈した。




同じように退屈だし、それにプラスしてうざったい空気も加わっているけれど、静かなところにいけば問題ないんだと。

何処に何があるのかも理解しきれていない溜まり場の中を歩いている時、ふと、一点に目がいった。




「うわっ……!負けるぅううううあ"あ"あ"!!!」

「美織ちゃん。超いい。その動き超いい」

「いやあ"あ"あ"!一位はアタシのものよおお"!」

「そのリモコンを持ちながら揺さぶられる、二つの至極の宝石……。俺、永遠に見ていられるよ」

「恭平マジでくたばれっ……ってあ"あ"あ"〜〜!豪太ぁぁぁあああああ"!!」

「いやあ"あ"!!!そんな男みたいな名前で呼ばないでって言ってんでしょ?!!」



大きなテレビの前。

ファミリーゲームで何かを競っているらしい女、男、……女?が、この場で群をぬいた盛り上がり具合を披露している場面があった。

死ぬほど煩い。そこまで騒がなくてもよくない?とすら思って、私は冷めた目を向けているだけ。





何が楽しいのか、怒ってるのに笑ってる奴すらいるんだから意味不明だと思った。

くだらない……群れるのは嫌いだし、何がいいのか分からない……とまた前を向き始めて、また、一度だけ視線を寄せてしまった。