BLADE BEAST

「………そういうの。生まれてきちゃった方は迷惑だから」






そう言って、眞紘はリビングから出ようと彼らに対して背を向け、そしてもう一度だけ視線を戻して立ち止まる。




「あとはアンタらで考えて」




眞紘は一体どんな力を持ってるっていうんだろう。

あんなに気持ちが下がっていたのに、綺麗に洗い流して溶かしてくれた。



……言葉になってくれない。ただただ彼のことを見上げている私は、完全にこの男に堕ちているんだということを再確認した。

まだ離してくれない手。

絡み合う指。

高鳴って止まんない心臓。




一度。

温度の無さそうな瞳をうっすらと向けてきた眞紘は、その手をまた躊躇無く引っ張って玄関の方へと歩いて行く。

力強く握られるその手と、何かを決めたような瞳がまだここに残ってる。────もしかしたらって思った。

眞紘は、この後……ある場所へ私を連れて行くのかもしれない、と。

そして、何かを言うのかもしれないと。











誰に?

何を?

それすらも────。






ガチャリと扉を開ける瞬間に、眞紘はポソリと口を開いた。

耳にこびりつくようなその台詞。

もう引き返すことはできないのだと分からせるように、瞳も、指も、共有する空気だって深く絡めて──。





「…嫌って言っても連れていく」