私は震える口元を必死に閉じて力を込めていた。
渋く貫禄のある父の顔も、鼻筋が通り、見るからに品がありそうな母の顔も上手く見ることはできなかったけど、でも…彼らが普段とは違う面持ちであるんだろうってことは容易に分かったから。
「出会わなければよかったんだって?」
「…」
「じゃあ莉央もいなければよかった?」
「…っ、ちがっ」
「違くねぇんだよ………」
凄みをきかせて声を震わせる眞紘と、泣きそうになりながら口を開こうとする母、そしてグッと口を閉じている父が対峙する。
「………そういうことだろうがよ……」
「…ちが、」
「自分が何のためにいるのか分からない気持ち、分かる?」
「……っ、」
「溜まってたもんが一気に溢れ出て絶望した莉央は…無気力に歓楽街を彷徨って、どうなったか…分かる?」
「……っ!!」
その時、ずっと黙っていた父の目が一気に開かれた。
何かを悟ったんだろう。
母に関しては両手で顔を覆って泣き始めていて、ただ眞紘と父だけが向き合っている状態が出来上がっていた。
渋く貫禄のある父の顔も、鼻筋が通り、見るからに品がありそうな母の顔も上手く見ることはできなかったけど、でも…彼らが普段とは違う面持ちであるんだろうってことは容易に分かったから。
「出会わなければよかったんだって?」
「…」
「じゃあ莉央もいなければよかった?」
「…っ、ちがっ」
「違くねぇんだよ………」
凄みをきかせて声を震わせる眞紘と、泣きそうになりながら口を開こうとする母、そしてグッと口を閉じている父が対峙する。
「………そういうことだろうがよ……」
「…ちが、」
「自分が何のためにいるのか分からない気持ち、分かる?」
「……っ、」
「溜まってたもんが一気に溢れ出て絶望した莉央は…無気力に歓楽街を彷徨って、どうなったか…分かる?」
「……っ!!」
その時、ずっと黙っていた父の目が一気に開かれた。
何かを悟ったんだろう。
母に関しては両手で顔を覆って泣き始めていて、ただ眞紘と父だけが向き合っている状態が出来上がっていた。

