────眞紘に引っ張られて辿り着いた先は、私の家だった。

マンションの前に立って見上げるなんて余韻を残すこともなく、眞紘はグングンとエントランスの中へと入って行く。




「…開けて」

「……眞紘、なにする、」

「いいから。…開けて」




立ち止まった場所にはオートロックを解除するための機械がおいてあって、若干困惑している私に静かに言葉を吐き捨てた。

まだ、腕は握ったまま。

見上げれば、そこにはいつもの気だるげなそれなんかではなく、真剣な目を向けている眞紘がいてじんわりと胸に何かが染み込んでくる。

────私はロックを解除した。







扉が開き、そのままエレベーターに乗り込む時には、いつの間にか手の位置が下にずれていた。絡みあう指。

────眞紘によって私のそれは完全に拘束されていたんだけれど、寧ろそれが嬉しくてたまらなかった。





心臓の音がおさまることがない。

慣れるだなんて言葉は無いように思った。

際限なく胸が揺れるこの感覚を──私は、今までに一度も感じたことはなかったのだと知ったんだ。