「この前も、他の女の子と一緒にいたけど…やっぱり莉央なんだよなぁ…って思っちゃって、ほんと莉央不足だけはマジでキツイ」
「…」
「莉央はさ、落ち着く場所なの。安らげるの。すっごい好き。ナンバーワンで好き。…だからさ、もう変なこと言ったりしないから今まで通りでいよう?」
するり、と腕を背中に回してくる晄は、私を正面から抱き締めてきた。
軽く肩にもたれかかるようにして前屈みになる晄の肩越しに、私は霞むような白い視界の下、何処か遠くを見つめていた。
チクリ、とまた痛む。
それはきっと──私が思ってることと、晄の言葉が少しズレているって思っちゃったからなのかもしれない。
納得すればいいだけのこと。
その方が上手くいくのかもしれない。
もっとライトに考えれば、それでオーケーなのかも、しれない。
────でも、しっくりこないのは…私が、私としていられるための何かに気付きかけているからなのかもしれない。

