「馬鹿…」
ポソリと呟いた。───湖面に水滴が落ちる感覚。
と、同時に一つ胸の内が曇った。
それは、私の中の晄に対する、そして眞紘に対する…どっちに対してもはっきりとしていない曖昧な気持ちから生じているのかもしれない。
私は何をしたいのか。
私はどうあるべきなのか。
………それが分からなくて。分からない理由も分からなくて…だから、時々苦しくなる。特に眞紘といると──酷く儚く、切なく思うことがある。
「…そうかも」
「…」
眞紘は、小さく呟いた。
自嘲的に口角を上げて少し眉を下げる彼は、此方を強く見つめて私の瞳を敢えて晒させないようにしている。
「…俺は馬鹿かも、」
「…」
「いや、ほんと…馬鹿だって思う」
「…」
「莉央」
「…え?」
「俺は狡いし、それに…かなり貪欲」
「…眞紘?」
一つ、息をした時彼の射抜くような瞳が私のそれを縛り付けるようにして向けられてくる。
「────誰にも、見せたくない」
「…何言って、」
「触っていいのは俺だけ」
「…ねえ、意味が、」
「お願いだから──アイツの前で笑わないでって」
ポソリと呟いた。───湖面に水滴が落ちる感覚。
と、同時に一つ胸の内が曇った。
それは、私の中の晄に対する、そして眞紘に対する…どっちに対してもはっきりとしていない曖昧な気持ちから生じているのかもしれない。
私は何をしたいのか。
私はどうあるべきなのか。
………それが分からなくて。分からない理由も分からなくて…だから、時々苦しくなる。特に眞紘といると──酷く儚く、切なく思うことがある。
「…そうかも」
「…」
眞紘は、小さく呟いた。
自嘲的に口角を上げて少し眉を下げる彼は、此方を強く見つめて私の瞳を敢えて晒させないようにしている。
「…俺は馬鹿かも、」
「…」
「いや、ほんと…馬鹿だって思う」
「…」
「莉央」
「…え?」
「俺は狡いし、それに…かなり貪欲」
「…眞紘?」
一つ、息をした時彼の射抜くような瞳が私のそれを縛り付けるようにして向けられてくる。
「────誰にも、見せたくない」
「…何言って、」
「触っていいのは俺だけ」
「…ねえ、意味が、」
「お願いだから──アイツの前で笑わないでって」

