BLADE BEAST

………かといって特に話すこともない。

私と眞紘の間にあるとすればそれは沈黙だ。


学校の時だってそう。

くじ運の無さで眞紘と前後の席になってしまったわけだけど、だからといって特に話す機会も無い。

強いていうならあのプリントが回ってくる瞬間だけ。









────それだけ、なんだけど。



「なぁ、」



ふと、ホワイトムスクの甘い香りが近くなったような気がした。

時計の針の音すら響かない馬鹿静かな空間の中で、私は引かれるようにして隣に視線を向けて"しまった"。


「…」

「…」


そこには身体を"此方側"に向けた眞紘が、何の意図を持ってるのか分からない瞳をただただ向けてくる場面があって。

若干、近いし。

若干、覗き込んでいるようだし。

また妙な空気になった……と思った。