マジで、いっぺんシネ…なんて思って、
────ハタと固まった。
「…シても、いい?」
掠れたような声。痺れる身体。
それはこの間の────。
ああ。あんな声を出して馬鹿みたいって、思った時のこれだ。
眞紘の甘い言葉に悶えるような手つきや舌先に我慢できず、次々と漏れ始めた自分のそれを思い出してしまった。
狂ったように熱い。何思い出してんの。
止まんなかった。自分が"馬鹿"になったように。
────だって、あんなの知らなくて………。
と、視線を泳がしていると、最中である恭平と目が合う。
何を思ったのか、何を悟ったのか、ヤツは楽しそうな顔を向けてきていて…罰が悪くなった私はまんまと逃げ腰になったってわけ。
「あぁっ…もっとぉっ……」
「可愛いね。ねぇ、はやく家行っておっぱい見せて?」
正直、背を向けたと同時に聞こえてきたその台詞にゲロを吐きそうになったことは言うまでもない。
お盛んなヤツを置いて、私は溜まり場を後にして外に出たんだ。

