眞紘に対して極端に態度を変えた晄を見ても、それは確かに言えることなのかもしれない。
眞紘がどんな役目を担う存在なのかって部分は知らないけど、長い間均衡と言う名のいわば冷戦状態であった東と西という概念の中にある二人は、決して"仲良し"ではいられない。
譲れない何かが、あるのかもしれない。
だから晄は黙ってなかった。
だって、海で不良に絡まれた時だって、"莉央がそういう趣味なのなら"と余裕かましていたくらいだ。
ずっとそうだった。私がよくなった時にだけ相手をしていればいいような関係だった。他の子がよければ後は何をしててもいい。
私がどうしてても何をしてても構いやしなかった晄が、急に独占欲を持ちはじめたのは──東西で譲れない何かがあるからって、それが理由なのかもしれない。
眞紘は東の人間なのだから。
だから、俺のお気に入りのそばにいるのは少し癪。
晄は別に私が心から好きでそうしてるんじゃないんだ。
彼が好きだ、好きなんだ、幸せなんだって言い聞かせて信じていた私とは正反対だった。
勿論会えば愛してくれる。だからいいのって、そう思っていた私は、他にも何人も相手がいるような普通の彼氏彼女ではない関係であったとしても構わないと思って。

