また、胸の奥がヒュウ、ヒュウと冷えてゆく感覚がした。
ふと────恭平や豪太、誰に関わることもなくフロアの端の方で座っている眞紘の姿が浮かんだ。
少し視線を下に向け、冷たいようなそうでもないようなよく分からない雰囲気を放っているアイツは、いつも飄々としてて。
だけど、ギャル女の話を突っぱねることなんてせずに話を聞いてやったり、"また今度ね"と言ってやんわりと離れていったり、アイツは拒絶は絶対にしない。
晄に悪質な嫌がらせをされたっていうのに、眞紘は何を言うこともなく────ただ受け入れて。
だから…だから、余計考えるんだよ。
何も追求しない。反抗だってしない。
のくせ……私に向けて哀しそうな顔を、向けるから。
「莉央ちゃんがどうすべきかは、自由だよ」
「…」
「どう決めるのかも、自由────だけど、」
「…」
「どっちにしろ…覚悟はしなきゃいけない。東西のこのしがらみは、簡単に解くことができるほど簡単なものじゃないから」

