BLADE BEAST

「眞紘にとって、どっちも大事なこと」

「…」

「しかも、今莉央ちゃんが知りたがってた方じゃない方のが、眞紘にとってはずっとずっと大事なものなのかもしれないね」

「…何、それ…」

「だって俺、釘をさされたんだよ?」

「…釘?はぁ?」

「そ。しかも去年だった。幹部室で偶然居合わせちゃった時にさ…あの何食わぬ顔で静かに牽制されたから───……おっと、ここは俺からは言えないな」

「…」




益々分からなかった。

逆に微笑みを深めてゆく恭平の理解は更々出来ず、私の眉間のシワばかりがそれに比例して深まってゆく。

気になるような終わり方をしやがって、絶対に恭平は私の反応を弄んでるに違いないと、本来聞きたかったことを忘れそうになったじゃない。

………何だっていうの。





なんて。また溜息をついた頃、




「────この街のこと、教えてあげよっか」




何を"知ってるの"か。

私はまだ主語を口にしていないというのに、恭平は自らそんなことを言ってきた。