BLADE BEAST

これでさっき恭平が"行っちゃう?"と言ってきた意味が分かった。

"今日も"コイツが私のお気に入りの場所を陣取っているから。

昼間もすぐ目の前で見ていたハチミツ色の柔らかい髪を散りばめて、大きく横になっているそれを見て舌打ちをしたくなる。

涼しげな顔に、甘い香水の匂い。

片耳にだけしているピアスに、中性的な顔立ち。



「…ねぇ」



私は瞳を閉じている男へと、抑揚の無い声を浴びせる。



────"G.G" No.2。

最強で最凶と言われる暴走族の二番目の男。


額の上に手の甲を乗せているように寝ていたその瞳が、ゆっくりと開けられて。

若干ながらに切れ長でもある大きな瞳を確実に私の方へと向けてくる。

昼間もそうだったように、何を考えているのかよく分からないそれをただぶつけてくる男────玖珂 眞紘だ。