いつか眞紘が発熱を引き起こした時に、苦しそうにうなされながらも言っていた言葉があったことを思い出した。

"俺には莉央しかいない"と。

アイツは確かにそう言っていた。







あの時は意味が分からなかった。

でも、この前の事件を目にした今の私にとって、それがどうもまとわりついてきてしょうがない。

あれは眞紘の本音だ。

言ってみれば西側、しかも"宇喜多組"直属の暴走族、"G.G"の中にたった一人だけ東の人間の眞紘が放り込まれてる状態。

────あんな気怠げな顔をしておいて本当は孤独を感じていたのかも、しれない。





ほんと、馬鹿。

顔に出さない分、実は半端なく辛かったんじゃないかとか考えちゃうじゃない。

意味深な言葉だけ残して放置するな、アホ眞紘…。




対立をしている東と西。もし、本当に眞紘が東の人間だったのならば、彼はどうしてこっちにいるんだろうかとか…色々考えすぎて容量オーバーなんだよ。

晄のことと眞紘のことで、私は大いに混乱させられていた。