眞紘が瞬きする度に身体越しにその感覚が伝わってくるほどの近さ。

腰を下ろしていた眞紘に覆いかぶさるようにして抱き締めている私は、意外すぎる行動に言葉を見失っているらしい眞紘に何かを伝えたくて。

別に、幻滅なんてしてないから。

気にしてない。だから何?って感じ。


アンタは飄々としていればいいんだよ。





「莉央。…なに、してんの?」





闇夜。月の光が晄を照らす。

光と闇の境界線を飛び越えた私は、漸く其方に視線を向け直したんだ。


艶がかった晄の髪。

少し困ったように笑う彼は、ラフなダメージジーンズのポケットに手を突っ込む。




「薄ら笑いを浮かべながら関節外したりしてたの、見てたでしょ?」

「…」

「悲鳴をあげてもやめてあげないなんて、残酷すぎると思わない…?」

「…」