さっきの女のドギツイ香水の匂い。

それを全く気にもしない晄は、いつものように何の悪びれもせずに甘いマスクを私に向けてくる。


いつもと一緒。何も変わったことなんてないはず。晄は晄で。それで──いいはず。




「りーお」

「…っ、」

「カーワイ」

「…こ、う」




こんなにも愛されてて、幸せ、だ……。

幸せ、なんだ。




「…いっぱい愛しちゃうから」




トサリ、とそのままベッドに押し倒される私の上には影が出来た。

すっかり熱を宿した瞳になった晄はペロリと舌舐めずりをすると私の頬を優しく撫でる。

伏し目がちになるそれ。

ギシリ、と軋むベッド。

甘いホワイトムスク──ではなく、フゼアの香り。



降りてくる唇と吐息を感じながら、私はただひたすらに何処か一点を、見つめていた。