BLADE BEAST

「莉央」




本当、呼ばれると胸がかゆいような気がする。

眞紘の目からも逸らすことが出来ないしで、少し定まりが良くない。



「…」

「風邪引いた時のお礼、ちゃんとする」

「…え?」

「何か欲しいものある?」

「……いや、そんなのいいから」



そしてしばらく無言だった眞紘は相変わらず髪を弄りながら私にそんなことを言ってきた。

いいのに。別に。私が勝手にしたかったからしただけなんだから。




「あげたい」

「…いいって」

「よくない」

「…」

「俺も莉央に何かあげたい」




意図的か。そうじゃないのか。そう言った眞紘は、ピンキーリングがはまっている私の指を自らの手によって…覆い被せた。

私はそれどころではなく、目の前の眞紘に吸い込まれそうになっていたのだけど、もしかしたらそうだったのかもしれない。