BLADE BEAST

「うまい」

「…」

「…うまいよ。さんきゅ、莉央」






だから────こうやって何気ない言葉を貰えることなど、ずっと無かった。

晄はどっか見当違いな台詞を吐いてくるし、別にそれをどうこう言うこともなかった私だったけど、実は…違ったのかも。



私には言われたかった言葉があった。

もっと私を見て欲しかった。





「莉央って、実は凄く面倒見良いよね」

「…え?」

「全てにおいて怠そうに他人を突っぱねているようで、実はそうじゃない」

「…」

「こういうの、割と好き?」




こういうの、とはきっと人の世話をやくことを言ってるんだろう。

他人なんてどうでもいいと思いながらも、心のどっかでは非常になりきれていない中途半端な女。

人助けとか、キャラじゃないし。

でも……悪くないって思っちゃうのは、強ち眞紘のいうとおりで。