BLADE BEAST

「……分かった。いるから」

「…」

「だから、とりあえずこれ食べて」




大抵のことでは動じない私だったけど、何だかその時はこの空気をどうにかしなきゃって思ってしまった。

カチャ、と差し出せば、眞紘は変わらずに私のことを見てる。また……嬉しそうな顔。



熱で少し可笑しくなってしまったのか、ということも考えられることも無くはないし、

それ以前に、確かに温かいうちにおかゆを食べてもらいたかったってのは本当のことなんだけど。




「莉央が作ったの?」

「まぁね」

「……」




沈黙。

モゾモゾと身体を起こした眞紘の膝の上にトレイを置けば、何やらヤツは黙り込む。

ハチミツ色の柔らかそうな髪。いつもは涼しげな瞳がゆらゆらと揺れる。長い睫毛。整った顔。キュッと口角を上げて。