BLADE BEAST

「ちょっとは楽?」

「…ん」

「そ」

「莉央」

「…ん?」

「…莉央」

「…何よ」

「風邪…引いたら、莉央は俺のところにいてくれるんでしょ?」

「…眞紘?」

「またこうやって倒れそうになったら、俺の方を選んでくれる?」





眞紘が変な事を言い出した。

掠れに掠れた辛そうな声で、私の目からゆらゆらと視線を外さない眞紘はポツリポツリと言葉を零す。

いや、思い返せば普段からいろんな場面で変なヤツだったことも無きにしもあらずなのかもだけど、今日は特に変。



「だったら…俺…」

「眞紘?」

「また」

「…うん」

「風邪…引き、た──…………」

「…」

「…」

「……眞紘?」

「…」




閉じられる瞳。

寝た、のか。その後は、規則正しい寝息が聞こえてきただけで何を言われることもなかった。


額が冷やされて気持ちよくなったからか、眠気がピークだったんだろう。そして風邪で気が滅入ってしまったんだな…きっと。



熱があってしんどければ誰だってある。

訳もなく不安になることだってあるし、だからこういう時は誰かがいないとダメなんだということを私は知ってるから。

そう、思って少し髪を整えてあげている時、ピピー……、ピピー……と体温計が鳴った。


──────取り出してあげれば、38度の超高熱で。それを見て、所々の妙な発言や行動に色々納得したのは言うまでもなかった。