BLADE BEAST

確かに揺らついている瞳は何かを言ってきているようだったけど、私には分からなかった。

カチ、カチ、と鳴る時計の秒針の音。交わされる視線。狭い空間の中で二人きり。数分後にやっと眞紘はそれを受け取った。


「…ありがと」


────それも心底嬉しそうに。




キュッと口を結んで下を向く眞紘は、体温計をケースから取り出し、Tシャツの中に突っ込んで寝っ転がった。

すかさず布団をかける私に、眞紘は大人しくされるがままになっていて。




「はい。前髪、上げて」




熱のせいで眞紘が変だ。

早く楽にしてあげなきゃ…と純粋に思った私は冷えピタを取り出して。




「ん」




そうすればまたもや素直に自ら前髪を上げてくる眞紘がいた。