「ソファーなんかで寝ても治んないから、仮眠室のベッドで寝て」
「…」
「熱は?測ったの?」
「…」
「あと昼ご飯、食べた?」
「…」
「ねぇ、聞いてるんだけど」
バッグをソファーの上に置いて、テーブルの上に置いたビニール袋の中身を弄る私に眞紘は何も言わない。
私はヤツに背を向けたまま冷却シートと薬を探していて…あまりに何も答えないもんだから、妙に思った。
「ねぇ、って…」
だから、一度振り返った、……のに。
不意に甘いホワイトムスクの香りがしたと思った。振り返ろうとする私と、視界の端で何かが動くのが見えて……。
「…まひ────……」
途切れるそれ。
最後まで伝えられることはなかった。
背中いっぱいに伝わる熱。加わる重み。耳にかかるのは熱のせいでさらに篭った吐息。じんわりとじんわりと強く…締め付けられる。
「────…ありが、と……」
掠れたような声で。
眞紘は、今ここにいる私という存在を再確認するかのように強く…後ろから抱き締めてきた。
「…」
「熱は?測ったの?」
「…」
「あと昼ご飯、食べた?」
「…」
「ねぇ、聞いてるんだけど」
バッグをソファーの上に置いて、テーブルの上に置いたビニール袋の中身を弄る私に眞紘は何も言わない。
私はヤツに背を向けたまま冷却シートと薬を探していて…あまりに何も答えないもんだから、妙に思った。
「ねぇ、って…」
だから、一度振り返った、……のに。
不意に甘いホワイトムスクの香りがしたと思った。振り返ろうとする私と、視界の端で何かが動くのが見えて……。
「…まひ────……」
途切れるそれ。
最後まで伝えられることはなかった。
背中いっぱいに伝わる熱。加わる重み。耳にかかるのは熱のせいでさらに篭った吐息。じんわりとじんわりと強く…締め付けられる。
「────…ありが、と……」
掠れたような声で。
眞紘は、今ここにいる私という存在を再確認するかのように強く…後ろから抱き締めてきた。

