BLADE BEAST

その数十分後。

私の目の前には男がいた。













────驚きで、目を見開いている男が。




「眞紘」




そう。私はあの後晄に、急な用事ができて行けなくなった…という電話を入れたんだ。

晄はと言えば大して残念がることもなく、"他の女の子誘うことにする〜"と言って楽観的に笑っていた。

だから安心して────、私は薬局へと急ぎ足だ向かって帰ってきたって…わけだ。




「…え?」




徐に起き上がった眞紘は、ビニール袋を下げて帰ってきた私に何回も瞬きをしながら見つめてくる。

それもそうだ。

眞紘は完全に私が晄のところに行ったと思ってたんだろうから。




「死なれたら困るから」

「…」

「黙って看病されて」

「…」




眞紘は穴が空くほどに私を見てる。

ビニール袋の中をガサガサと弄っている私のことを、ただただ見ている。