BLADE BEAST

◇ ◇ ◇





何も、私が眞紘をどうこうすることもない。

眞紘と私は特に何でもない関係なんだし、それち眞紘にだってそのような関係の女くらい何人もいるはずだ。

困ったら呼べばいい。

なにも私がすることでもないって言ったらそうだ。


ただ一つ心残りなのは、この前のことを謝れなかったことくらいで…別に、眞紘と私は親友でも何でもないもんなんだし。

明日にはケロッとしてるはずだ。

いつものように飄々としているはずだ。



そうに……違いなくて。

────電話を切った私は駆け足で外を歩いていた。




楽観的な晄の声を耳に残し、

知らぬ間に、駆け足になった。




八月に差し掛かった外は、蝉の鳴き声が雨のように降り注ぐジメジメとした、とにかく暑い日だった。

少し汗を掻きながら、私は真夏の炎天下の中を進んでいったんだ。