BLADE BEAST

見たと思ったら、すぐ近くに置いてあった私のバッグを此方に投げつけてくる。

やっとのことで受け止めた私だったけど、それを両手で抱えたまま、依然として困惑した様子で眞紘を見る。




「…いいから、約束あるんだろ」

「…」

「行けよ…」

「…でも、風邪」




こんな男塗れの溜まり場に薬や冷却シートなんかもあるわけ無い。

第一昼ご飯だって、食べたのだろうかとか…そもそも作ってくれる人なんていないこととかも色々考えて。




「大したことない」

「…でも、辛そうじゃ」

「少し怠いだけ。こんなの、寝てれば治る」

「…」



ズルッと浅く座った眞紘は、額に押さえている手越しに私を見てくる。

熱のせいか少し、瞳が揺れていた。