BLADE BEAST

取りにきただけ。

…だけど、一個言っておきたいことがあった。



眞紘は気にしてないかもしれないけど、私があの日約束を破ってしまったことを謝りたくて。

イチゴオレちゃんと飲んだって言いたくて。



私はこんなに謙虚なキャラじゃないのに、何でかコイツに対しては違った。

何でだか、言わなきゃと思って。




「…まひ、」

「あっそ……」




その発言に暫く目を合わせてきた眞紘は、また瞳を前髪の奥に隠す。

入り口で立ち止まる私は、結果的に封じられてしまったそれを吐き出すことなく、そのまま動き出す眞紘の姿をただ黙って見ていた。

やっぱり、気にしてないのかもしれない。

私だけが変に気にしてるだけで、ヤツはこんなにも飄々としていて………、


────けれど、





ガタン。





一歩、踏み出した瞬間に眞紘の身体は不自然に大きくグラついた。

咄嗟に棚に手をついて身体を支える眞紘に、私は目を丸くした。