BLADE BEAST

だってそうだ。西側の人間が東側の話をすることはまず無い。

お互いが混じることなど決してなく、それはどちら側の人間にも暗黙の了解として伝わり続けているのだから。

関わることも無い。無理に争うことも無い。互いに無同然の扱いをする、私達の知らない世界。



この海岸はかろうじて西側に位置する場所にある。まさか、コイツらは向こう側の…人間なんだろうか。

そう思って眉を顰ませると、中心人物らしき男がニタリと笑った。




「ご名答」

「…」

「俺たちは東側の人間」

「…」




流石に、酔いが醒めたような気がした。

そんな東側の人間が、特に何をしてるわけでもない女子高生にすぎない私に何の用なのか。

クスクスと笑う男達を目の前に、私はなおのこと口を閉ざしたままだった。