BLADE BEAST

どのくらい見えてるんだろうとか。

やっぱり深い意味はないのかとか。




それだけ言ってまたヒューガルデンを飲み始める眞紘の横顔を、私はただただ見つめていた。

彼方からは見えない随分離れた場所には、甘い台詞を吐きまくり、まさに女と絡み合おうとしている晄がいる。

海岸には花火片手に盛り上がっている大勢の男女の姿があり、ここにあるのはバーベキューの残骸のみ。




ふと、眞紘が此方を見た。

────バチリ、とぶつかる視線。




そのまま伸ばされた手は、私の黒髪へと向けられてまたクルクルと毛先を弄ってくる。

こそばゆい。けれど、嫌じゃないそれ。





「イチゴオレ買ってきてやるから、待ってて」





弄ったかと思えば、優しく耳にかけてくれる眞紘は終いにポンポンと頭を撫でて立ち上がる。

"うん"と頷けば、ポケットに手を突っ込んで飄々と海の家の中に入って行ってしまう眞紘。

私は────そんな後ろ姿を見ていた。