BLADE BEAST

まだ何も言ってないのに…!

内心はそう思っていながらも、自由奔放すぎるコイツの餌食になる私は、




「ほらよ」




手渡されるそれを見て、不覚にも胸を躍らせてしまった。

…………イチゴオレだ。

しかも粒が入ってるやつだから、私が好きな中でもトップレベルに値する代物。

コイツ、無愛想なのに気がきく………って、いやいや。何喜んでんだよ私。




「…あ、ありがと」

「ん」




ポツリと呟けば、いつの間にかラグに座っている眞紘がペットボトルに口をつけながら、一回だけ横目を向けて返事をしてくる。

私は缶をコロコロと転がしながら、突っ立ってるだけ。

────誰もいないこの空間で、また妙な沈黙が流れ始めていた。