BLADE BEAST

思わず立ち止まる私に、取り出し口から飲み物を取ろうとする眞紘は、前屈みになったまま此方を見て手を止めた。

ハチミツ色の髪は濡れていない。

半袖シャツを前開きにして羽織っている眞紘は、かろうじて海パン姿ではあるがすっかり海に入る気は無さそうで。

バスタオルを片手に持ったまま、水着姿で立ち止まっている私のことをただ見つめる。

────ジッと。




「……帰ってきたの?」




そしてヤツは素っ気なく一言を添えた。

スポーツ飲料を取り出し口から取り出した眞紘は、涼しげなあの瞳で興味無さげに言葉をこぼす。



「…あ、うん」

「そ」

「…」

「…なんか飲む?」



聞いてきたくせに、やはり眞紘という人間はこうもどうでも良さげに……。

なんて思っていれば意外すぎる気遣いまで見せやがる。

パチパチと瞬きをして黙っていれば、一度だけ此方を見て、…ポチッと勝手にボタンを押して飲み物を落とす。