BLADE BEAST

「やっぱ莉央がいい」

「…またそれ」

「だってそうだから。莉央が一番いい」

「…あっそ」

「ん。落ち着く」



目尻をキュッと下げて、晄は私の頬へと手を伸ばす。

ザザーン、ザザーンと繰り返し聞こえてくる波の音。

若干濡れた私の髪を耳にかけてくれる晄は、そのまま優しく頬に触れてくれる。



「好きだよ。莉央」

「…ん」



例えそれは、多くの女の子にも言っているような言葉だとしても、全然構わない。

その時に確実に私に向けて言ってくれるのだから、私はそれで満足で、……きっと幸せってやつを感じることができるのだと思う。

晄は愛してくれるから。

私はそれが欲しいんだ。




「…んっ」




海岸側に対し、私に背を向けさせて、人の目からは隠れるようにしつつ、且つ場所を厭わずに唇を寄せてくる晄。

潮の味がする。

チュッ…と音を立てる晄は離れたかと思ったらまた寄せてくる。