思えば、ホチキスの音が止まっていたことに気づいたのはいつだったか。
携帯からは甘い晄の声。
『何処がいい?好きなとこ決めていーよ』
「え?…そうだな……」
『莉央の為なら何処でも連れてっちゃう』
「それ本当に言ってる?…大袈裟」
『本気だよ?俺めっちゃ莉央のこと好きだからっ』
深い意味はないそれ。
だけどそれでも、私は嬉しいと思う。
「あっそ。じゃあ──────」
イチゴオレを置いて、プリントを整えようとした…その時だった。
顔の脇。伸ばされる、手。
ギシッ…と軋む机は体重をかけられたために小さい音を立てた。
スルリ、縛っていたゴムが解かれてゆくのに目を見開いていると、目の前にはホチキス留めを止めて頬杖をついている眞紘が見えた。
何くわぬ顔でゴムを奪い、落ちてきた私の黒髪をクルクルと弄る眞紘は何を言うこともなくただ変な行為を続ける。
『……莉央?どうしたの?』
携帯からは甘い晄の声。
『何処がいい?好きなとこ決めていーよ』
「え?…そうだな……」
『莉央の為なら何処でも連れてっちゃう』
「それ本当に言ってる?…大袈裟」
『本気だよ?俺めっちゃ莉央のこと好きだからっ』
深い意味はないそれ。
だけどそれでも、私は嬉しいと思う。
「あっそ。じゃあ──────」
イチゴオレを置いて、プリントを整えようとした…その時だった。
顔の脇。伸ばされる、手。
ギシッ…と軋む机は体重をかけられたために小さい音を立てた。
スルリ、縛っていたゴムが解かれてゆくのに目を見開いていると、目の前にはホチキス留めを止めて頬杖をついている眞紘が見えた。
何くわぬ顔でゴムを奪い、落ちてきた私の黒髪をクルクルと弄る眞紘は何を言うこともなくただ変な行為を続ける。
『……莉央?どうしたの?』

