少し話せただけなのに……こんなにも嬉しいと思った事は久しぶりだ。
ゴミ袋を両手で持ち、廊下を歩く。
吹奏楽部、か……。
学校で音楽関係のこと、やった事ないな……。
誰かと一緒に音楽を奏でるって何か楽しそう。
「あれっ、如月じゃん!やっほー!」
前を見ると、そこにはたくさんの人に囲まれている輝星君の姿があり、私の方に駆け寄ってきた。
「ゴミ捨て?俺が持ってあげるよ」
「え?大丈夫だよ。そんなに重くないから……」
「遠慮しなくていいって。ほら、早く行こ!」
そう言いながら、輝星君が私からゴミ袋を取り、私の手を取って歩き出す。
「えっ?ちょっと……」
私は手を引かれて輝星君の隣を歩く。
「如月って、俺と会う時いつも何か持ってるよな」
「……たまたまだよ」
私の言葉に輝星君はふっと笑う。
「俺的には、如月にこういう事何でも引き受けるのやめて欲しいんだけどなぁ。如月は優しすぎるから、時々心配になるよ」
「……優しくなんて、ないよ」
ただ、私には断る理由が無いだけだから。そういう風に言われると、少し罪悪感を感じてしまう。
ぼんやりしたまま、全く人通りのない階段を降りていると、階段の淵に足を引っかけてしまい、その衝撃で輝星君から手が離れ、身体がフワッと宙に浮く。
「如月!」
落ちるというその恐怖心に思わず目をつぶった。……でも、いつまで経っても身体に痛みなんて感じなかった。
恐る恐る目を開けると、輝星君が私を抱きとめた体制で私の下敷きになっていた。
「ごめんなさい!輝星君!私のせいで……」
「あははっ、本当危なっかしいよ如月。俺の事は心配しなくても大丈夫だよ。俺の下には運良くゴミ袋があったから痛いとこもないし、怪我もしてないから……って如月……」
輝星君は私の顔を見ると、ものすごく驚いた顔をしていた。
「えっ……?」

