「……そんな顔されたら、仕方ないな。俺も、本当は寂しかったんだ、普通に話せなくなって」
「え?」
遥貴さんも、そう思っててくれたんだ……。
「でも、これでもう大丈夫だな。壁もなくなって普通に話すことが出来る。……結局俺はまた、助けてもらったんだな。大人として情けないけど、でも……」
遥貴さんは私の手を握り、微笑んだ。
「また、この手を取ってもいいか?……幸音」
久しぶりに私の名前を呼んでくれたことで、心が温かくなるのが分かる。
「……うん、いいよ」
また、昔みたいに戻れる。それが嬉しくて、私は遥貴さんをじっと見つめた。
けど、すぐにハッとする。
「学校のこと忘れてた……。夏向!遥貴!早く行こう」
私の言葉に、二人はすごく驚いていた。私はそんな二人の手を引っ張って走り出す。
今の私は、それだけで嬉しく思えた。
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「はぁはぁ、ギリギリ間に合ったね」
「そうだな」
二人で息を切らしながら教室に入った。
……やっぱり、皆からの視線が痛い。
「最近、小林君と如月さん一緒に登下校してるよね?二人って付き合ってるの?」
突然クラスの女子からそう言われてビクッとする。
「別に、俺達付き合ってないよ。ただ、俺が幸音のこと、気に入ってるだけだから」
夏向は私の方に手を乗せて、目を細める。
「ちょっと……誤解されるような言い方しないでよ」
「本当のこと、言っただけだけど。それに、俺はずっと幸音に会いたかったんだ。だから、こうして一緒にいれるってすげぇ嬉しい」
夏向の笑顔を見て、思わず目を背ける。
何で皆の前でそんなこと……。
「えっ?二人って知り合いだったの?」
「違う。幸音は……」
夏向が言いかけていたのを、私は彼の口を手で塞いで止めた。

