「だから遥貴さんが」
「良い奴とは思っていたけど、やっぱりそういう所は他の男子高校生と一緒だな」
急に態度の変わった遥貴さんを見てふっと笑う。
「やっぱ、そっちの方がいいよ遥貴さん。……でも、俺に弱み握られたな」
「は……?」
俺を見て少し不機嫌にしている遥貴さんの方を向いて、俺は笑った。
「”夏向様、ありがとうございます”って。俺は何処ぞの王子様かよ。遥貴さんに合ってなさすぎて俺、笑いそうだったんだけど」
「……なっ!?って、今すげぇ笑ってんじゃん。仕方ないだろ、俺にはそういう接し方しか思いつかなかったんだよ」
「……はは、真面目にそんな事やってるから面白いんだよ。ていうか、よく今までこんな恥ずかしいこと続けられたよな。遥貴さんが毎日ヘコヘコしてるの想像するだけで、笑えるんだけど」
「うるさい。いつまで笑ってんだよ。ったく、俺もお前から”さん付け”されるの気持ち悪かったんだけど。はぁ……そろそろ俺戻るからしっかり身体休めろよ。あまり無理しないように」
「はいはい分かったよ。は・る・き・さん!」
「……お前なぁ」
遥貴さんは俺を睨みながらパタンとドアを閉めて行った。
俺はベッドにドサッと横になる。
……少しは、幸音の役に立てただろうか?
これでまた、幸音がこの屋敷でまた笑えるようになるのも、夢じゃないかもな。
遥貴、すげぇ面白くて真面目で優しい奴だったし。
……幸音の笑った顔をふと思い出す。
俺も、あの笑顔を守りたい。そしていつか、学校でも皆と笑えるように。

