それから二人は忙しくなり、外国にまでも行くようになった。
……外出している時間が多く、早く帰ってきてほしいと願いながら、私は一人でピアノとヴァイオリンを弾き続けた。
……そして、五年前、お父様は事故に遭い、この世界から他界してしまった。
”有名なヴァイオリ二スト如月優志、死去”
テレビはどのチャンネルにしてもそのことばかりだった。
ピアニスト、ヴァイオリニスト……。
どちらにもなれるように教えてもらった私は、お母様から言われてピアノの道に進むことに決めた。
……お母様の笑顔は、お父様が亡くなってから、ずっと見ていない。
家にも滅多に帰ってくることはなく、海外で過ごしている。
……ヴァイオリン、あの日から全く弾いていないな……。
「この屋敷は、幸音にそんな顔させるんだな」
「……私は、本当に大丈夫。ここでの思い出は振り返ると楽しいことばかりなの。……ただ、もう前みたいには戻れないのかなって思っただけ」
お父様もお母様も、前みたいにここにはいない
……遥貴さんだって、五年前この家に来てからだんだん打ち解けていって、お互い呼び捨てで名前を呼びあっていたのに……。
3年前遥貴さんは変わってしまい、よそよそしくなった。
「……なら、元に戻せばいいだろ」
小林君の言葉に驚いて、彼の方を見る。
「……えっ?」
小林君は優しく笑った。
「確かに、完全に戻すことは出来ないかもしれない。過去にあったことは、変えられないからな」
でも……と小林君は話を続ける。
「未来は、望むならいつでも変えることが出来る。行動しなきゃ同じままだけどさ、幸音がそう強く願うなら、それくらい出来るはずだ」
「……未来は変えられる……」

