光の差す暗闇で私は音を奏でたい



~遥貴目線~



「……そろそろ俺は戻ろうと思います。お嬢様も、ご無理はなさいませんように」




「うん、分かってる。でも、遥貴さんもね」




「はい。では、失礼致します」





俺は、お嬢様に礼をしてドアを閉め、その場に立ち尽くす。




……お嬢様は、いつだって自分の心配より他人の心配をする。




決してそれが悪い訳じゃない。でも、それが俺の首を少し締め付けるんだ。




「……俺は、いつも何やってんだ」





今年で22にもなるのに、幸音に助けてもらってばかりじゃないか。彼女の支えになりたくて、執事になったはずなのに何も出来ていない。




俺は、幸音に助けてもらったおかげで、今こうして生きているというのに。





……そう、あれは俺が17の時だった。










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17の俺には、彼女がいた。俺の彼女は、昔から身体が弱く、入院する日が多多あった。



それでも俺は、彼女のことを心から愛していた。




「花恋、今日はお前が読みたいって言っていた小説買ってきた」




「えっ!?わざわざ買ってくれたの!?ありがとー、すごく嬉しい!遥貴が買ってくれたものだから、一生大事にするね!」




俺の彼女、谷口花恋はその小説を大事に抱え、俺に笑顔を向けてきた。




「一生って、別に程々でいいよ」




「良くない!……遥貴から貰ったものは、特別だから、ずっと大事にしておきたいんだ」




「花恋……」




俺は嬉しかった。俺の事、特別だって言ってくれているみたいで……すごく嬉しかった。