……帰り道。私はいつものように小林君と公園まで歩く。
「幸音、自分で言っておいてなんだけど……来月コンクールなのに俺の勉強につき合ってていいのか?」
「大丈夫だよ。私もテスト勉強しなければいけないし」
それに、小林君はとても楽しみにしてくれていた。……なら、期待にきちんと答えてあげないと。
……公園に着くと、遥貴さんが車から降りて待っていてくれた。
「お嬢様、夏向様、お帰りなさいませ。どうぞ、中へお乗り下さい」
ドアを開けながらそう言う遥貴さんに、二人でお礼をする。
……勉強会などのために、家に誰かをあげるなんて、もうないと思っていた。
けど、今隣には小林君がいる。……やっぱり、先のことは分からない。
でも、だからこそ良いのかもしれないと少し思った。
……数十分後、家に到着して私の部屋に入る。
「では、ごゆっくり」
遥貴さんが、私達にお辞儀をしてドアを閉める。
「……じゃあ、勉強始めよう。分からないところあったら言ってね。私もテスト勉強してるから」
「分かった」
私達は一つの机に向かい合わせになって勉強を始める。
「幸音、ノート見せてくれないか?全教科、俺のノート真っ白なんだ」
小林君はそう言いながら、何も書いていないノートを私に見せてくる。
「それは授業中寝てて書いてないからじゃない。今の言い方だと、何で白紙なのか分からないって聞こえる」
「……あぁ、そうだった」
「そうだったって……」
……小林君は、性格からして何でも出来そうだと思っていた。でも、どこか抜けてる。
それが面白くて耐えきれず、ふふっと笑いだしてしまった。

