「アンタなんか、消えればいいのに」



三戸さんはそう言い残して、安藤さんと原田さんと一緒に私から去っていく。……良かった。



「……ゴホッゴホッ」



今頃苦しさが一気に込み上げてきて思わずむせ返る。



……私はやっぱり、人から好かれないんだな。まるで、道端に落ちている石ころみたいな存在なのかもしれない。




散らばった書類を、一枚一枚集める。



「君、大丈夫?」



前を見ると、整った顔立ちをした金髪の男子が立っていた。……この人、前にどこかで会ったような気がする……でも、誰だったかな。



「……って、如月さんじゃん」



「やっぱり……もしかして、どこかで会ったことある?」



「いや、こんなに近くであったのは今日が初めてだよ。でも幼い頃に一度だけ、如月と会った事がある」




「そっか」



幼い頃のことは、もうあまり覚えてない。だから、どうしても彼と会った時の日のことを思い出せなかった。でも……そうだとしたら、彼も音楽関係の人間なんだろうか。




「まぁ、いいや。俺も拾うの手伝うよ」



彼はそう言って、一緒に書類を拾ってくれた。








「はい、これで全部」



「ありがとう」




「別にいいよ。ていうか、この量を一人でって大変でしょ?俺も半分持っていくよ」



「大丈夫。一人で行けるから」




そう言って立ち上がろうとした時、足に痛みが走った。




「……痛っ」



私は思わずしゃがみ込む。そっと座り込んだからプリントは落とさなかった。



……三戸さんに突き飛ばされた時に、足を捻ったのだろうか。全然気づかなかった。