「シュリ様?いかがされました?」
 「………あ、ごめんなさい。少し疲れてしまったみたい」
 「そうですか。それでは、一度休憩いたしましょう」


 そう言うとメイナは、準備していたお茶をてきぱきと用意し始める。城の庭には、休憩スペースがあり、メイナはそこのテーブルにお菓子やお茶を準備してくれているのだ。体を動かした後に飲むお茶はとてもおいしく、朱栞はシャレブレ国の飲み物をすぐに気に入っていたのだ。


 「メイナがこの前、用意してくれた絵本、とても面白かったわ。妖精と動物たちが冒険する物語」
 「それはよかったです。あの絵本はシャレブレでは有名なもので、知らない子どもはいないと思います。あの話を聞いて大きくなったといっても過言ではないかと」
 「そうなのね。シャレブレの絵本はほとんどが妖精が出てくるものなのね」
 「異世界では違うのですか?」
 「え、そうね。いろんな物語があるわ。本当にたくさんの物語が」


 この世界には本はあるが、テレビやゲーム、ドラマなどはない。観劇などはあるだろうが、それでも元の世界とは比べ物にならないぐらいに創造の物語はすくなるのだろう。


 「そうだ。もしよかったら、精人語の練習のために異世界の物語を聞いてくれないかしら?」
 「……?わかりました」