事件を解決する度にラファエルは強くなり、警備隊からは怖がられるようになった。
 圧倒的な強さを見て、この人が国王になるのではないかと思う者もいたほどだという。が、そんな事に全く興味がないラファエルは自分の領地だけは守ろうと、仕事を行ううちにその恐怖も少しずつ解消していった。
 けれど、目立ちすぎるのもよくない、とリトにも言われラファエルが動く時は夜に行う事にしたのだ。しかも少人数の精鋭隊で。


 そんな時に、ラファエルは運命を変える出会いをする。
 それはまだ、ラファエルが15歳にもならない少年の頃の話だった。






    ☆☆☆



 どうしてだろうか。
 彼はきっと来てくれる。
 助けに来てくれる。


 そう断言出来た。彼の名前を呼べば、来てくれるのだ。
 約束を交わしたのだから。


 「おまたせ、シュリ」
 

 優しい声。
 シュリが聞きたかった声が近くで聞こえた。
 涙で抜けた目を開くと、視界がぼやける。目を拭いて、声をする方を見たかったけれど、体が動かないのでそれも叶わない。けれど、絶対に彼だとわかる。


 「ラファエル……?」
 「おまえ、いつの間に!?魔力を全く感じなかったぞ」
 「おまえが使える魔法を俺が使えないとでも?どちらの方が魔力が高いと思っているんだ」

 コツコツと足音がこちらに近づいてくる。
 それと同時に、穂純に体を抱きかかえられ無理やり起こされる。
 そして、首にひんやりとした感触。それがナイフだというのは嫌でもわかる。穂純が、朱栞に首元にナイフを当てたのだ。