ホープの瞳からはボロボロと涙が溢れてくる。
 彼の絵に対する熱意は相当強いものなのだろう。感動しているのか、顔を赤くしながら泣いていた。


 「母さんも喜びます。とても名誉なことだ、と」
 「ホープ、まだ本は完成していないのよ。今から頑張るのだからね」
 「はい!精一杯務めさせていただきます。シュリ様、どうぞよろしくお願いします」


 自分の描いた絵を抱きしめて泣きながら笑うホープの表情は、とても輝いて見えた。

 彼との約束を早く果たすためにも、朱栞にはやらなければいけない事がある。
 ホープと別れた後。朱栞は今までで1番のスピードを出して、昨日の爆発音があった周辺へと急いだ。

 穂純を見つけて、説得する。
 きっとうまくいくだろう。朱栞は、そんな風に思っていた。これが、安易すぎたと後悔するほどに、穂純の闇が深い事を朱栞はまだ知るはずもないのだった。