穂純がシャレブレ国で行っている事。
 それは、妖精と捕まえて売り飛ばすという妖精の密売だ。妖精は生き物に分類されているが、人間に魔法を与える者として貴重な存在になっている。そのため人間同様に、妖精の売り買いは禁止されている。妖精が望んでの契約妖精は認められている。が、一定以上の魔力を持っている妖精はなかなか人間と契約を結ぼうとはしない。そして、見た目などで好みの妖精が契約してくれるわけでもない。
 そうなると、人間はどうするのか。

 好みの妖精と契約を結ぶために金を積んだり、暴力で従順させたり、ペットやコレクションのように檻に閉じ込めて軟禁する事もある。

 それがシャレブレ国で起こっている闇の部分だった。


 「意外と認めるのが早い。いさぎいいのは嫌いではない。では、ついてきて貰おうか。あぁ、もちろん、その剣は持ってはいけないからな」
 「わかってるよ」
 「リト。連行しろ」
 「はッ」


 リトが腰からロープを取り出し、彼に突き付けていた剣を一度下げた。
 変わりにラファエルが手のひらを向けて、魔法をすぐに打てるようにしようとした時だった。
 それより早くに動いた存在が突然セクーナの目の前に現れたのだ。


 「おそーいっ!」
 「やれ、ランっ!」
 「言われなくてもっ!」


 甲高い声の主は黄色の髪をツインテールにした妖精だった。タイトなスカートにも関わらずに大きく足を開き両手を挙げて魔法を溜めている。バチバチっと静電気のような音が部屋中に発生する。


 「妖精っ?!気配などなかったのに」
 「王子、逃げてくださいっ!」
 「くっそっ」