「ラファエル様。恐れながら1つよろしいでしょうか?」
 「なんだ」
 「ハーフエルフ様には、お話はされていないのですか?」
 「………出来るはずがないだろう」
 「では、知らぬまま過ごすのですか」
 「……いつかは話そうと思っている」
 「それはいつですか?」


 そして、リトは自分の痛いところよくついてくる。小姑みたいなだと苦笑しそうになるが、今リトの前で笑えばきっと機嫌が悪くなるだろう。部下の機嫌など王子が気にする必要はないのかもしれないが、それでも任務を遂行するのに支障をきたすし、彼の話したことも理解しているので、仕方がない。


 「いつかは、決まっていない」
 「私は早めに話した方がいいと思います。話すのが、遅くなればなるほど話しにくくなるものです」
 「それは年上としての心得かな」
 「そう思っていただいてかまいません」


 言いたいことだけ話したリトは、ラファエルに向けて頭を下げた後に、部屋を出ていった。


 「リトには隠し事など出来ないな。困ったものだ………」


 地下室はよく反響する。
 一人になったラファエルの声は、反響し自分に戻ってくる。リトの話したように、やはり話したらいいのだろうか。
 そんな風に考えた後、ラファエルは大きくため息をついたのだった。