「あぁっ、そ、そうだよね…!急にごめんなさい!!」
その声にハッとしたように、お下げの女の子…琴吹、さんは謝ってくる。
その全力投球のような態度は、まるで私が悪者だと連想させてくる。
今日何度目か分からない、大きなため息を内心でついて、私は花城あまねの仮面を深く被り直し
「いえ、別に大丈夫です。」
淡々と、でも冷たすぎないように気をつけてそう答える。
そして、一分終始を見守り、助け舟を出してくれた隣の席の爽やかな青年…真城くんの方を少し見て軽くお礼に見えるお辞儀をした。
こんなこと、馬鹿みたいとしか思えないけど。
表社会で生活する以上、目立たないよう適応していく必要がある。
…私の記憶に近づくためにも。
琴吹さんは、私が反応を見せたことに驚きと喜びを感じたようで、しゅんとした表情から一気に花が咲いたような顔になり、
「これからよろしくね!!」
満面の笑みでそう告げて前を向いた。

