黒い花




私は簡潔に名乗り、軽くお辞儀をした。

顔を上げ改めてクラスを見回すと、Sクラスだからか少人数なのが分かる。

空席もチラホラあるが、私を入れて…15人、だ。


私が名乗り終わると、端に寄って見守っていた伊月先生が私の隣に戻る。

「花城さんがここに転入してきた、ということはとても優秀な方であること、皆さんお分かりかと思いますが…それでもこの学校については皆さんのが先輩ですので、色々サポートしてあげてくださいね。」

それから私の方を向き

「花城さんも、分からないことや助けが必要なら頼ってくださいね。1人で生活しているのではないんですから。」

まるで、私のことを誰より知っているかのようにそう言った。

……私は小さく頷くだけ。
それでも、伊月先生は満足したようにクラスの方に向きを直した。


「席は窓側の一番後ろです。教科書など届いてないものは…隣の真城くん、見せてあげてください。」

廊下側の1番後ろ、端の方が目立たなくて安心する。
私が少し安堵感を感じた所に、隣の席の真城…くんが、爽やかな笑顔で返事をしていた。