だから、教室へは遠い筈。
頭の中を巡るのは、そんなことと
目の前を歩く背中のこと。
伊月 凰。彼は私の何だったのだろう───
「───花城さん。」
「……はい。」
っと。ちょっと考えすぎた。
突然話しかけられ、少し反応が鈍ってしまった。
「あの…改めてかもしれませんが、この学校のシステムはご存知ですか?」
矢白学校のシステム…?
確かにこの学校が全寮制で国内でもトップクラスの進学校であることは知っているけど…細かい規則などはまだ分かっていないな。
「…いえ、詳しくは。」
そう思い私が答えると、
「では、道すがら説明させて頂きますね。」
そう伊月先生は眼鏡の奥の目を細めて微笑んだ。

