そして、私の中で膨らんでいくものが確かな存在に思えた時…
─────白斗みつねを知っているんですか
単刀直入にそう問いたくなった。
正直、問わずとも私の姿を見て分かりやすく…いや、思い出して欲しいかのように反応した姿を見れば、矢生校長先生が過去の私と繋がりがあるのは分かった。
それでも、こんな風に暖かな感情になるとは…
今の私にはもどかしくて、認めたくなくて。
質問することでそれを振り払いたかったのだと思う。
でも、その私らしくもない衝動は、ライ様から言われている一つの言葉によってブレーキが掛かった。
『みつねは何も探らなくていい。
絶対に周りの環境が、過去の記憶を思い出させるから。』
それはサラリと言われた言葉。
だけど今、矢生校長先生と出会ってよく理解できた。
だから、私からは何も聞かない。
それはライ様との結び付きでもあるから…。

