「…校長室か?」
立ち止まった所から、私の方を向き確認するようにそう言う彼。
あー…これは、この先も案内してくれるやつだ。
そう思った通り、私が頷くと彼は「着いてこい」とさっきと同じ台詞を言い捨てて、またスタスタと歩き始めた。
私は一見一方的に思えるが、常にこちらの様子を気にしているその背中を追う。
………親切なのか、不器用なのか。
いや、気配を消せる時点で不器用とかの問題では無いけれど…。
初めて関わる人がこんな謎めいた人なのは不運だと思ったが、こんなに広い敷地に複雑な構造をしているなら、正直助かるのが本心。
…そして、それは最もな気持ちであったと確信する。
「ここだ。」
裏口に行くよりも少し長く歩いた先、校内1階の1番奥。
何も知らない私1人では辿り着けない場所に校長室はあった。

