それでも 私の中で 毅彦を

完全に 消し去れたわけでもなかった。


毎日 会社に行けば 毅彦がいるのだから。


当たり前だ…


時々 心配そうに 私を見ている毅彦。


毅彦の視線に 気付くくらい

私も 毅彦のことを 気にかけていた。


私は 頼太を思っているのに。


そう思えば 思うほど 

毅彦との時間が 懐かしくなる。


もう二度と 毅彦に戻ることは 無いけど。

だからこそ… 手放した時間が 貴重に思えて。


そんな風に思うことが ないほど

頼太に 強く 求められたい。


思いの外 慎重な頼太とは

まだ キスさえも していなかった。